村田弘子が語る『なぜ事業承継結婚なのか?』

こんにちは。良家のご縁の会を主宰しておりますFORTUNA GROUP株式会社代表取締役の村田弘子でございます。

本日は、なぜ今、事業承継結婚が必要なのかについてお話しさせていただきます。

目次

日本の長寿企業の誇り

私は常々、日本の企業の底力に感銘を受けています。皆様ご存知でしょうか?世界には7万5000社もの創業100年を超える長寿企業があり、そのうちなんと5割が日本企業なのです。これは私たち日本人の誇りだと思いませんか?

この驚異的な数字の裏には、日本人特有の価値観があると私は考えています。戦前の家制度の時代から、おじいさん、おばあさんの代、さらにその前の時代から、日本人は家族の絆を大切にしてきました。様々な困難を乗り越えてきた結果が、この長寿企業の多さに表れているのではないでしょうか。

そして、忘れてはならないのが「婿養子」という日本独自の制度です。世界を見渡しても、このような後継者対策はほかにありません。古来、日本では事業承継を結婚で解決してきた歴史があるのです。この知恵と工夫が、日本企業を発展させ、1970年代には「ジャパンアズナンバーワン」と呼ばれるまでに至ったのだと私は確信しています。

現代の事業承継の危機

しかし、令和の時代を迎えた今、日本の企業、特にファミリー企業やオーナー企業は深刻な危機に直面しています。私の知る限り、日本の企業の95%を超えるファミリー企業・オーナー企業が、後継者不在を理由に次々と暖簾を下ろしているのです。

この状況がもたらす経済的影響は計り知れません。2025年までにGDP22兆円もの損失が予測されているのです。この数字を聞いて、皆様はどう思われますか?私は正直、愕然としました。

さらに衝撃的なのは、2023年の帝国データバンクの調査結果です。これまで当たり前だった子供への事業承継が、社員による内部昇格に取って代わられ、2位に転落したのです。しかし、私はこの数字の裏にある複雑な事情を見逃してはいけないと考えています。

多くの社長様は、最初から内部昇格がいいと決めておられたわけではありません。子供に遠慮して言えない、子供に継がせることが本当に正解なのかわからない、子供が結婚しないので家も終わるといった、消極的な理由によるものが多いのです。この現状を、私たちは真摯に受け止める必要があります。

若い世代の思いを聞いて

私は日頃から、20代、30代の若い方々とお話をする機会を大切にしています。そこで驚いたのは、彼らの多くが家業に対して思いを寄せているということです。

「自分は家族と一緒にこの会社があったおかげで大きくなれた。会社に感謝していて、自分が継ぐことは何らかの形で当然なのではないか」

こう考えている方が多いのです。さらに、彼らは現状に甘んじるのではなく、積極的に事業を発展させたいという意欲を持っています。

「今の業態は今の時代には合わないかもしれない。でも、それを次世代に合うものに変えることで発展させていく道はないだろうか」

親御さんにはおっしゃらなくても、こうした思いを抱いている若者が多いのです。この熱意を、私たちは決して見逃してはいけません。

事業承継結婚という新しい形

そこで私が提案したいのが「事業承継結婚」という考え方です。これは決して、上辺の条件だけを合わせる政略結婚ではありません。個人の幸せと事業承継の両立、これを一番大事にした結婚の形なのです。

現代の若者たちは、自分の個人的な幸福を犠牲にすることなく、かつ会社の未来を共に築いていけるパートナーを求めています。「夫婦二人で会社の未来を語り合えるような関係が理想だ」と、多くの若者が語ってくれました。これこそが私たちの目指す事業承継結婚の真の姿なのです。

現代の婚活の難しさを理解する

しかし、この理想的な関係を見つけることは、現代社会において非常に困難になっています。コロナ禍で飲み会が減り、昔ながらのお見合いおばさんもいなくなり、婚活はアプリで決める時代になりました。

特に、経営者の子女にとって、アプリだけで適切なパートナーを見つけることは至難の業です。経営者の伴侶となる理解を持っている人かどうか、アプリの情報だけで判断するのは不可能に近いのです。

この状況下で、多くの若者が婚活の孤独感に苦しんでいます。ある時、あるお嬢様が涙ながらにこうおっしゃいました。「口出しをするくらいだったらお母さんがいいと思う人を連れてきてほしい」と。この言葉に、私は胸が締め付けられる思いがしました。

経営者の婚活の特殊性を考える

経営者の婚活には、一般的な婚活とは異なる特殊な要素があります。単に二人の恋愛感情だけでは決められない多くの要因を考慮する必要があるのです。

他の社員の人たち、取引先、株主様、地域の皆さん、こういった広い方々とうまくやっていける方かどうか。それを本人の持つ仕事の才能や能力と一緒に見抜いていかなければなりません。

さらに、経済的な側面だけでなく、会社の理念や歴史に対する理解と共感も重要です。単に経済的なメリットだけを見ているのではなく、会社の理念に共感し、その歴史を学ぼうとする姿勢があるかどうか。これらの点もしっかりと見極める必要があるのです。

良家のご縁の会の設立

これらの課題に対応するため、私は「良家のご縁の会」を設立いたしました。ファミリー企業がこれからも社会の公器として貢献し、発展していくためには、事業承継に特化した婚活のサポートの場が必要不可欠だと考えたからです。

私自身、会計事務所の2代目に嫁ぎ、跡継ぎを育てるという経験をしてまいりました。また、長年にわたり多くの経営者家族と交流する中で、事業承継と結婚の問題が密接に関連していることを肌で感じてきました。

アプリ全盛の時代だからこそ、経営者のご家庭には特別なサポートが必要です。その思いで、良家のご縁の会を立ち上げたのです。

結びに

かけがえのない御社と御社のファミリーのために、永く持続可能な未来を築けるよう、私たちは良縁を紡いでまいります。婚活の情報が足りなかっただけで廃業するような会社を、もう二度と見たくはありません。

事業承継結婚は、決して冷たい経営戦略ではありません。それは、個人の幸福と企業の持続可能性を両立させる、新しい形の結婚のあり方なのです。日本の伝統的な価値観と現代の若者の希望を融合させ、次世代の経営者たちが幸せに、そして成功裏に事業を継承していく。それが私の夢であり、使命なのです。

どうかこの思いをご理解いただき、共に日本の未来を築いていけますことを心よりお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。

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