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高齢者に被害増加ビットコイン 絶対儲かる?
6月22日日経新聞朝刊では、ビットコインを使った投機で高齢者が狙われ、被害が出ているという内容の記事が載りました。高齢者に限らず、情報弱者にネズミ講の商法で投機を進めるやり方・・・。ビットコインをやりませんか?儲かりますよ?と友人に誘われたら、どう考えるといいでしょう。国際金融マーケットで活躍中の橘樹薫さんに伺いました。
マーケットは今、どんな動きをみせていますか?
橘樹さん、先週は投資信託売り時について、基本的な指針を教えていただきましたが、この一週間、マーケットはどんな動きを見せていますか?
橘樹:はい。株価動向を見ると堅調ですが、一番気になるのは日本の国債の金利です。日本銀行が金融政策として長期金利を0%にしようとコントロールしているのはわかるんですが、気をつけたいのは 異常に市場参加者(取引量)がいなくて、今は日銀による金利の操作、官製相場になってしまっています。
0%金利の目的は、融資を促すためなのですが、融資は伸びず、市場で健全な国際の取引が成り立っていません。本来ならお金を借りたい人がいて貸したい人がいて相場って成り立つんですが、今はそうじゃなくなっちゃってるんですよ。これは非常にこわいことで、戦前のようにお上がすべて決めてしまっているかのようです。これだけ経済がグローバル化しているなかで、官製相場になると限界がやってきます。(金利の急激な上昇懸念)
なるほど。お上が牛耳る経済は危険ですね。こういうときってなにか危ない儲かり話がでてくるんじゃないでしょうか?
橘樹:そうです。世の中では金利は上がらないと思われていて、物価もなかなか上がらないですが、市場関係者は戦々恐々、おびえながらやっているのが今の状況です。おっしゃるとおり、こういう世相を受けて、ビットコインの投機商品など、あぶない儲け話がでてきます。
誰も市場に参加しない状況になると何が起こりますか?
橘樹:市場にプロの投資家が参加しないとなると、当然ターゲットは個人になります。高齢者のような情報弱者である個人にいくのですね。ビットコインもしかり。海外の保険商品を売るなんていうのもあります。
海外の保険商品、日本のより金利がいいんだって言いますよね。でも庶民が買うのは危うい・・今のような危ない状況では海外の保険商品を取り扱う金融業者も出てくる・・
橘樹:そうです。イギリスでは海外の保険は売ってはいけない法律があるのに、日本ではまだ個人取引は禁じられていない。
結局のところ、仮想通貨ってなにが危ないのでしょうか?どういうことでできたしくみなのか教えてください。
橘樹:たまたま2週間前に金沢の女性から、「ビットコインがもうかるからやりませんか?と誘われるが、やっても大丈夫なものですか?」と質問を受けました。そのあと、6月22日日経朝刊に、ビットコインの投機話で高齢者が狙われトラブルがでているという記事が出ました。でもこれは、基本の仕組み金融リテラシーを理解していれば避けられるのです。難しいことじゃないんです。
仮想通貨はお手上げ、わからんと思うのは、例えばこう言うことなんです。昨年12月22日の日経新聞には 早大顧問の野口悠紀雄さんが、記事のなかで『ブロックチェーンは銀行の仕組みよりハッカーに対して堅固で、一つがやられても同じ記録がほかで残っていて安全だ』と書いています。しかし、記憶では、2014年のマウントゴックス騒動はハッカーによって起こりました。ブロックチェーンって安全なの? やられてしまうの? もうここから混乱します。
橘樹:2014年のマウントゴックス事件ではまだブロックチェーンの導入前の段階で起こったようです。ブロックチェーンの仕組みを当時仮想通貨があまり利用していなかったのではないかと思われます。
ビットコインなどの仮想通貨は元は、通貨と商品の交換手段あるいは小口融資の手段であり、その取引の前提として個人情報はしっかりブロックチェーンで預かりますよというものです。それが、いつしか投機商品になってしまったところに問題があります。銀行が取り組んでいるのも、あくまでも交換手段決済機能が中心です。海外送金のときの時間とコストが 違ってきますから、そういう意味では個人にとってもいいものです。
今まで仮想通貨を取り扱ってきた人が、ブロックチェーンに自分の個人情報がさらけ出されることを嫌がり、仮想通貨の取り扱いから撤退した例が海外にあります。みんなマイナンバーは出し渋るのですが、ブロックチェーンでは個人情報が丸裸になる・・それでもビットコインに参入していいんですか?ということです。
交換手段でなく儲け話としてのビットコインに気をつけると言うのはどういう点で?
売るときに、日本円で交換すると契約にありますか?交換レートはどうなっていると聞かされていますか?ということです。ビットコインは
1.交換レートが明確ではない
2.元の通貨(日本円)の戻しができると保証されていない
3.ビットコインの発行量が限定されている
などの問題が解決されていません。ビットコインの価格が上昇するのはみなが価格が上がると期待することで値上がる。発行量が限定されているので値動きが激しい。日本円に換金したいのであれば、ほかにビットコイン購入者を探し求め、その人のお金と交換することでキャッシュを得るしかありません。
しかがって日本円に戻したい人は、ネズミ講のように他人を勧誘するしかないようです。また、100円が200円になったなどとあたかも儲かったように騒いでいても、それはあくまでも今売ったらという評価額であって、売却(交換)して得た益(実現益)ではありません。絵に描いた餅なんですね。
ビットコインなどの仮想通貨には、日本銀行のように中央銀行が介在しないので仮想通貨を管理する機能を持っていません。ブロックチェーンは記録の寄せ集め、分散型台帳技術ですから誰も責任を取らない。仮想通貨に投機をするもしないのも 個人の責任となりますね。また、投資でなく投機だという認識も大事ですね。ありがとうございました。
まとめ 仮想通貨 気をつける点
1.商品の交換(決済)手段と投機商品と使用目的を明確にする
2.売って現金化したいときに自由に日本円に戻すことが契約で保証されているか
3.仮想通貨の交換レートの根拠を確認する
仮想通貨そのものが悪いのでなく、本来の使用法を違うものに化けていったのが、トラブルの理由のようです。
次回は 年金を含む老後資金の増やし方についてお聞きします。
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