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未来を拓くHirokoの扉第4回 ~資産を育てる 運用を考える
先週今週(2017.7.9収録)と米国金利の上昇から、為替が影響してきていますが、この状況で私たちは金融商品の選び方をどうしていけばよいのでしょうか? 国際金融マーケットの専門家、橘樹薫さんに伺います。
金利動向と米国の雇用統計から見える米国経済
Hiroko: 橘樹さん、米国の金利が上昇していますが、その影響が欧米にも日本にも及んでいますね。こんなときは、金融商品の売買についてどんなことに気をつけたらいいでしょうか。
橘樹:はい。金利というのは経済の体温でして、現在も先週に引き続き 金利動向は気になります。先週末、米国時間7月7日㈮に米雇用統計が公表されました。米国の失業率は歴史的な低さで、非農業部門の雇用者数も市場予想を上回り増加しています。
Hiroko:雇用がよくなっているのですね。
橘樹:はい。失業率は低くても賃金上昇率は鈍いという課題はかかえたままですが米国経済は 楽観的見方が広がっています。これを受けて米国連邦公開市場委員会 (FOMC)は、来年2018年末までに あと4回の利上げを想定しています。
Hiroko: ふ~む。あと4回金利を上げるんですね。
金利上昇が世の中を変える
橘樹:金利は一方方向に動きます。つまり米国金利上昇に引きずられて まず景気回復基調の欧州が反応していますね。そして日本も先週、金利(10年国債)の利回りは 日本銀行の思惑を外れて上昇しています。
Hiroko: あ、米国にみんな引きずられちゃうんですね。それで、日銀は金利をゼロにしておきたかったのに 上がってきちゃっているってことですね。
橘樹:そうです。金利の上昇は、世の中を変えます。まず、株式市場と外国為替市場が反応します。金利上昇時に株式市場はいったん下がりますが、やがて物価が上昇します。一方、外国為替市場では日米の金利差で円安方向に動きます。
円安になることで日本株はどうなる?
橘樹:すると、日本の株は上がっていきます。
Hiroko: 日本の株は上がるんですね。
橘樹:同日(2017・7.7)日本では公的年金運用(年金積立金管理運用独立行政法人ーGRIF)の2016年後の運用益が7兆9363億円と2年ぶりに黒字になったと公表されました。
Hiroko:そうですね。
橘樹:GRIFの16年度松の運用資産は過去最大の144兆9,034億円で、世界最大の機関投資家です。運用益を資産別に見ると国内株式が 4.5兆円と最も大きく、外国株式が4.3兆円と続き、株式運用に支えられていたことがわかります。おもしろいのは、昨年のちょうど今の時期に、含み損があるので、野党もメディアも株式運用は危険だと声高に批難しました。やめなさいと言った。当時の民主党は年金運用は株式から撤退せよとまで言い切り、政府に迫っていました。でも最終的には運用は運用のプロに任せよということになった。もし野党の言う通りにしていたら、2016年の運用益は大幅に減少していたことになります。
Hiroko:やめろと言われてもやめなかったことが功を奏したのですね。
まとめ:金利が上昇しそうな今の判断材料に 公的年金の運用が指標となる
橘樹:はい。ここで一つ言えることは、公的年金の運用は、運用資産の規模や運用手法が違うので全部をまねるわけにはいきませんが、今後私たちの資産運用を考える際の一つの参考例、指針となるということです。現在のように 金利が上昇しそうなときに、債券運用を中心にすべきか株式運用かの大まかな判断材料となります。
Hiroko: 橘樹さん、金利が上昇しているときに、どう自分の金融資産のかじ取りをしていけばよいか、ぱっと思い浮かばなかったのですが、年金の運用が指標となるということは、そうだった、そういう基本があったなとお話を伺って思いだしました。
きょうもありがとうございました。次回は、
第5回(7月16日予定)金融商品の選び方~えっ!それに投資したらダメ!
第6回(7月23日予定)市場を知ろう~外国為替市場とタイタニック
を予定しております。どうぞお楽しみに。
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