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Service III

ファミリーガバナンス

ファミリーガバナンスを整え、強くしなやかなファミリーを創る。

ファミリーガバナンスとは、ご一族とご家業の関係を整え、世代を越えて大切なことを決め続けていくための仕組みです。ご一族で守る約束事と、それを話し合って決める場。この二つが基本になります。

会社には、取締役会や株主総会といった決まった仕組みがあります。一方で、ご家族の側の決めごとは、言葉にされないまま受け継がれていることもあります。世代や立場によって、大切にしたいことが違うのは自然なことです。あらかじめ約束事と話し合いの場を持っておくことが、互いの考えを理解し、承継に向けて合意を重ねていく助けになります。

家族・所有・経営が重なるところに

ファミリービジネスは、家族、所有(株主)、経営の三つが重なり合う形で説明されます。米国ハーバード・ビジネス・スクールのタギウリとデイビスが示した「スリー・サークル・モデル」と呼ばれる考え方で、ファミリービジネスを理解する枠組みとして広く参照されています。

同じ方が、親であり、株主であり、経営者でもある。立場が重なるぶん、家庭の話と会社の話が混ざりやすく、ご家族の間の行き違いが、経営の判断に影響することもあります。ご家族の側にも決めごとと話し合いの場を持ち、いまどの立場で話しているのかを分けて考えられるようにする。それが、ファミリーガバナンスの出発点です。

国のガイダンスが示す考え方

経済産業省は2026年6月、「ファミリーガバナンス・ガイダンス」を公表しました。日本の企業の9割以上がファミリービジネスだと言われるなか、長期的な視点や素早い意思決定といった長所を生かしつつ、短所となるリスクに備えるための考え方と、取り組みの例がまとめられています。

ガイダンスでは、次の五つの項目が整理されています。ご一族の理念や価値観を言葉にすること。ご一族としての意思決定の仕組みを持つこと。ご家族の家業への関わり方を決めておくこと。所有と経営の承継を早めに計画すること。そして、社員や地域など周囲へ発信することです。取り組みは各社の任意とされ、すべてを整える必要はありません。ご一族の事情に合った形を考えることが勧められています。

ご一族で取り組む三つのこと

Point 01

家憲(ファミリー憲章)

ご一族の理念や価値観、ご家族としての約束事を文書にまとめたものです。何のために家業を営むのか、ご家族は家業にどう関わるのか、株式をどう引き継ぐのか。考えを書き残しておくことで、代が替わっても判断の拠りどころになります。

定める項目には、たとえば、ご一族の理念と家業の目的、「ファミリー」とする方の範囲、家族会議の開き方と決め方、ご家族の入社や役員就任の考え方、次の世代の教育方針、株式の引き継ぎ方と手放すときのルールがあります。

家憲は、それだけでは法的な拘束力を持たないのが一般的です。株式の扱いなど、法的な効力を持たせる必要がある事項は、株主間契約や信託契約などの活用を検討する方法があります。どこまで効力を持たせられるかは、法律の専門家が個別に確認します。ガイダンスでも、目的や利点・欠点を考えて、適切な形式を選ぶことが勧められています。

Point 02

家族会議(ファミリー会議)

ご一族の考えを共有し、家業への関わり方や承継の方針を話し合って決める場です。開く頻度、参加する方、決め方をあらかじめ定めておくと、話し合いを円滑に進めやすくなります。

ガイダンスは、ご家族の間の話し合いは感情的になりやすい場合があるとして、役員や外部の専門家が進行役を務める方法を挙げています。法事などの機会や、食事会・旅行を通じてご家族の交流を重ねることが信頼関係の土台になる、という事例も紹介されています。

Point 03

次の世代の教育

後継者に求める資質、選び方、育て方を早めに決めておくことは、承継をめぐる対立を避けることにつながります。後継者だけでなく、将来株式を持つ可能性のあるご家族にも、会社の歴史や理念、株主としての役割を伝えておくことが大切です。

ガイダンスでは、あえて他社で経験を積ませる、承継後の先代の役割をあらかじめ決めておく、といった取り組みの例も紹介されています。

歴史と約束を、形に残す

私どもは、ご一族の歴史と理念を社史や家憲として形に残す編纂をお手伝いしています。婚前契約については、法律の専門家のご紹介と、ご結婚の準備に合わせた段取りを担います。

社史・家憲の編纂

ガイダンスは、創業者の価値観や会社の歴史を共有すること、成功だけでなく過去の危機や苦労もあえて次の世代に伝えることを、取り組みの例に挙げています。社史は、そのための確かな器です。編纂のためにご家族の記憶や想いを持ち寄る時間そのものが、ご一族が大切にしてきた価値観を確かめ、家憲を考える機会にもなります。

婚前契約

新しくご家族を迎えるときに、財産の帰属や管理のルールを婚前契約などで明らかにしておくことも、ガイダンスは株式の過度な分散を防ぐ方法の一つに挙げています。婚前契約のうち、夫婦の財産関係を法律の定めと異なる形で決めるものは、民法の「夫婦財産契約」にあたります。婚姻の届出の前に結ぶ必要があり、相続人などの承継人や第三者に対して主張するには、届出までに登記しておかなければなりません。届出の後は、財産関係を原則として変更できません。

こうした規定がどこまで当てはまるか、契約の内容と効力は、弁護士などの法律の専門家が個別に確認してご説明します。私どもは、専門家のご紹介と、ご結婚の準備に合わせた段取りをお手伝いします。

整えていく順序

ご一族で取り組む際の、一般的な進め方の例です。

Step 01

ご一族の現在地を整理する

ご家族の関係図、これまでの歩み、株式の保有状況、今後想定されるリスクを整理します。どこから手を付けるべきかが、ここで見えてきます。私どもの承継準備のプログラムも、この整理から始めます。

Step 02

理念と価値観を言葉にする

ご一族が大切にしてきたこと、家業を営む目的を、ご家族で話し合って言葉にします。ガイダンスでは、次の世代も交えて話し合い、完成する前にその意見を十分に聞くことが勧められています。

Step 03

約束事と話し合いの場を決める

家憲にまとめる約束事と、家族会議の開き方を、ご家族で決めます。契約などの法的な仕組みは弁護士に、税務にかかわる事項は税理士にご相談ください。

Step 04

見直しながら受け継ぐ

一度つくって終わりではありません。事業の環境や世代の変化に合わせて見直し、家族会議のたびに確かめ合うことで、生きた決めごとになっていきます。契約の見直しは、変更できるかどうかも含めて法律の専門家に確認します。

弊オフィスがお手伝いすること

ファミリーガバナンスは、文書をつくれば済むものではなく、ご家族の対話を重ねて育てていくものです。私どもは、社史・家憲の編纂、婚前契約をお考えの方への法律の専門家のご紹介、次の世代の教育のご相談を中心にお手伝いします。

法務、税務、資産管理など専門的な判断が必要な部分は、各分野の専門家と連携して進めます。窓口は、弊オフィスが一本化して承ります。

このページは、経済産業省「ファミリーガバナンス・ガイダンス」(2026年6月5日公表)などの公開情報をもとに、一般的な考え方をまとめたものです。個別の法務・税務の判断は、弁護士や税理士などの専門家にご確認ください。
経済産業省の発表ページ

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